肩の障害
投球障害肩
投球動作の繰返しによって肩に痛みを生じる状態をいいます。
日常生活では困らないことがほとんどですが、休んで痛みがなくなっても、投球を再開するとまた痛みがでる…。 なんの対処もせずに復帰するとこのような悪循環を招いてしまいます。
投球障害肩は、ボールを投げる動作をすることで痛みを生じるため、 肩を壊してしまうような"投げ方そのもの"が最大の原因と考えます。
肩を痛めてしまう選手に多い傾向としては、肩甲骨の動きが硬い、股関節が硬いなど、 身体の柔軟性が大きく関与しています。 したがって、治療では身体の柔軟性を向上し、肩に負担が集中することを防ぎます。
肘の障害
野球肘
成長期にボールを投げすぎることによって生じる肘の障害を野球肘といいます。
投球時や投球後に肘が痛くなります。肘の伸びや曲がりが悪くなることもあります。
原因は繰り返しボールを投げることによって肘への負荷が過剰となることです。
肘の外側で骨同士がぶつかって、骨・軟骨が剥がれたり痛んだりします。 また、肘の内側では靱帯・腱・軟骨がいたみます。肘の後方でも骨・軟骨がいたみます。
治療は、投球の中止が重要で、肘の安静が大切です。 痛みを我慢して投球を続けていると障害が悪化して、症状によっては手術が必要になることもあります。
投球障害肩と同様に、他部位の影響が大きいと考えられるため、 肩甲帯・体幹・股関節などの下肢機能にも着目し、 肘関節にかかる負担を最小限に出来るような身体作りを行っていきます。
膝の障害
前十字靭帯損症
(現在作成中です。)
膝の慢性障害
オーバートレーニングにより生じるため、使い過ぎ症候群ともよばれます。
靭帯や腱が骨に停止するところでは、筋肉のはたらきによるストレスが集中しやすく、 組織の小さな損傷が生じます(123)。
また、靭帯が骨のすぐ上を通るところでは、 膝の曲げ伸ばしによって靭帯と骨の摩擦が生じて炎症の原因になります(4)。
- 大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 鵞足炎
- 腸脛靭帯炎
選手側の問題としては、筋力不足、筋力のアンバランス、骨の成長と筋の伸びとのアンバランス、 からだの柔軟性不足、アライメント不良などが挙げられ、練習や環境の問題としては、 オーバートレーニング、選手の体力や技術に合わない練習、不適切な靴などが挙げられます。
スポーツの前にはストレッチングを十分におこない、スポーツの後にはアイシングを15分ほどおこないます。 貼り薬や塗り薬も効果があることが少なくありません。
発症しても軽症あるいは中等症であればスポーツは続けられるので、 適切なコンディショニングによってそれ以上に悪化させないことが大切です。
オスグット・シュラッター病
発育期の小中学生に多く、過度のスポーツなどで膝下に負担が大きくかかると発生します。 脛骨結節が徐々に突出してきて、痛くなります。
時には、赤く腫れたり、熱を持ったりします。 休んでいると痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発します。
膝を伸ばす力の繰り返しにより、 まだ未成熟の脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかり成長軟骨部が剥離することで生じます。
大腿四頭筋のストレッチングやバンドによるサポートなどを用いてある程度のスポーツ活動を継続できますが、 発症後3~6ヵ月は無理にスポーツを続けるほどに症状は強くなり、痛みが強くなると休養が必要となます。 多くの場合、適切な治療・休養とリハビリで保存的に軽快します。
股関節の
障害
グロインペイン症候群
ランニングやキック動作など腹部に力を入れたときに鼠径部(足の付け根)やその周辺に痛みが生じます。 他の競技と比べサッカー選手に多く見られます。
体幹から股関節周辺の筋や関節の柔軟性の低下や骨盤を支える筋力低下、 体幹と下肢の動きがうまく連動出来ず不自然な使い方によって、悪循環が生じて症状が慢性化していきます。
治療は、可動性、安定性、協調性の問題を評価し、それを修正するリハビリテーションを行います。 グロインペイン症候群と考えられている患者さんの中には股関節唇損傷の場合もあり、 リハビリのみで症状が改善しない時はMRIをおすすめします。
その他の
障害
アキレス腱断裂
ジャンプの着地動作や踏み込み動作などでの発生が多いのが特徴です。 受傷の際は"足の後ろを蹴られた"感覚を持つことが多く、 つま先立ちが出来なくなり、断裂した箇所に凹みが見られます。
保存療法と手術療法の選択になりますが、当院では再断裂率・競技復帰までの期間を考慮し、 手術療法を選択することが多いです(手術は伊勢崎市民病院で行います)。 特殊な縫合法により術後1~2週より市販のサポーターを装着し歩行が可能となります。 スポーツ復帰は筋力の回復を見ながら術後4ヶ月以降に許可しております。
腰椎分離症
腰椎分離症は成長期のスポーツ選手における腰椎の疲労骨折です。 学童期スポーツ選手の腰痛の原因の約30~40%が分離症であるとの報告もあります。
多くは体が柔らかい10代の頃に、 スポーツの練習などで繰り返して腰椎をそらしたり回したりすることで起こります。
初期はレントゲンには写りませんので、疑わしいときはMRIを行います。 MRIにて新しい腰椎分離症変化がみられた場合はCTにて病期を評価します。 終末期とされる偽関節に至らない初期や進行期であれば、 コルセットで骨癒合が得られる可能性があり、 患者さんと家族と相談の上治療方針を決めていきます。
診断・治療は整形外科専門医である院長が対応します。
院長経歴について詳しくは「医院のご案内」ページをご覧ください。